百夜

倉敷安耶

2023年 12月 8日

12月 28日

SOM GALLERY

この度 SOM GALLERY は、倉敷安耶による「百夜」を、日本橋馬喰横山にて開催いたします。

倉敷安耶は、1993年兵庫県に生まれ、2020年東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了。
現在は、東京と京都を中心に活動しています。
主な展覧会に、個展「あなたの髪のひとつ(だった)」(haku kyoto、京都、2023)、個展「腐敗した肉、その下の頭蓋骨をなぞる。」(銀座蔦屋書店アートウォールギャラリー、東京、2023)、「ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」」(京都芸術センター、京都、2023)、個展「浅はかなリ、リアルの中でしぜんにかえる。」(和田画廊、東京、2022)、「Idemitsu Art Award(旧シェル賞)アーティスト・セレクション」(国立新美術館、東京、2022)などがあります。

​倉敷は一貫して自身が肉体という物質、そこに付属するカテゴライズによって人間が絶対に断絶された孤独な存在である中での、他者との距離について考えてきました。
ジェンダー・死・身体といった他者性、そこに伴う共同体と、他者と共に生き抜くための変革的な行為であるケアについて、宗教を取り巻く体系をモチーフに制作を行なっています。
転写技法を用いた平面作品を主軸にした他、インスタレーションやパフォーマンスなど複数のメディアを取り扱い、表現しています。
有史以来、人間が持ち合わせる普遍的なテーマを扱いながらも、そこには作家である倉敷自身が当事者でもあるということが前提のもと、テーマが扱われています。

本展では、今年度の倉敷の展示を下敷きにしつつ、人間主体の眼差しをテーマに東洋説話における小野小町を主題に据えた作品を発表いたします。

「九相図は肉体の不浄を論じるだけでなく、無常観を表出する。観想の主体は男性で、描かれる死体は女性であり、一方的な眼差しの対象とされているポルノ的絵画でもある。中世には、九相図に小野小町伝説が伝承された。美貌を誇った小野小町が零落し、京都の寺院へ辿り着き、野ざらしの髑髏になったという。
小野小町は説話と化し、個人を離れて勝手な小野小町像が一人歩きした。かつて絶世の美女だった小町が、晩年になり老婆となっては無惨にも没落するという。男性社会において美貌あるいは性的魅力を多く持つ女は、その個人の人格を無視し、罪を背負った女として描かれることがある。
宗教は共同体の保全の為に存在しており、穢れとは体系的秩序の為に包含してはならないものである。中でも身体的快感の強い、食と性についての事柄は一層禁忌の対象として見なされてきた。料理の構造的分類の一つである腐敗と発酵の違いとは、微生物により変化した有機物が人間にとって有害であるかどうか。つまりは主体側の眼差しである。」
(倉敷安耶)

​本展覧会において、倉敷は小野小町を中心に扱った約15点ほどの新作平面作品を、発表する予定です。
本展のオープニングに寄せて、12月8日(金)19:00-21:00の日程でオープニングレセプションを開催いたします。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

Works

Installation View