積む

尾花 友久

2024年 6月 28日

7月 17日

SOM GALLERY

SOM GALLERY は、6月28日(金)から7月17日(水)まで、尾花友久による個展、「積む」を開催いたします。尾花にとって、SOM GALLERYでの初めての開催となる本展では、尾花が捉える陶芸を主題とする、純真無垢な多数の陶芸作品を展開いたします。

尾花は、一貫して陶器を実用的な形式で留まらせることなく、伝統工芸の技術をそのままにしつつ、既成概念に囚われない形での工芸史の文脈の更新を模索しています。

近年、国内外を問わずスポットライトを浴びている、伝統工芸の一つである陶芸。しかし、こと現代アートの領域における陶芸作品は、器としての機能面を飛び越え、質量を有する彫刻的なオブジェクトとして、評価を受けています。このように、工芸品としても、現代アートとしての側面も有する陶芸作品を曖昧な存在として擬える尾花は、あえて意味を持たない、無目的化された陶芸作品を制作しています。これは、尾花が捉える時代観の反映であり、生きているこの時代そのものが曖昧であるからこそ、一つの答えに当てはめることない作品を作り上げています。

また、尾花は一貫して、陶芸作品を通じた、境界線を探ることに挑戦しています。
工芸とアートはどこから、何をもって区分されうるのか。陶芸作品は土で構成されるが、どこまでが土の状態であり、どこからが作品として成立しうるのか。一義性の正しさが失われつつある今、あえてそこに解を見出さず、曖昧で不安定な状態すらも受け入れることに、尾花の陶芸に向き合う姿勢が表出します。

今回の展示では、「積む」という行為に焦点を当てた作品群を発表します。
陶板を複数枚重ねて、積み上がった陶芸作品は、器としての機能を排した、オブジェクトとしての機能のみを有した作品です。陶器としての機能を失った無目的化されたオブジェクトを目の前に、鑑賞者は自然とそこに意味を見出そうと対話を試みることで、工芸の領域を超えた、現代アートとしての像が浮かび上がってくるでしょう。

尾花友久は、1983年京都府生まれ。2005年に京都嵯峨芸術大学短期大学部陶芸専攻卒業した後、三重県伊賀のダレン・ダモンテ氏に師事。現在は、三重県伊賀を拠点に制作を行い、国内外のギャラリーにて作品を発表しています。
主な個展として、「『箱』最終章 | 小さくて優しい声で欲しいものはもらえないもっと大きな声を出せ」水犀(東京、2023年)「To see the rainbow at night, I must make it myself.」 Nonaka-Hill(ロサンゼルス、2022年)、「第3章-archive-展」wad(大阪、2022年)等。主なグループ展として、「not titled (not “Untitled”)」 Nonaka-Hill(ロサンゼルス、2022年)、「Sized」Sized(ロサンゼルス、2021年)、「Busy Work at Home」Nonaka-Hill(ロサンゼルス、2021年)、「Sea Change」Ratio 3(サンフランシスコ、2021年)等に参加。

本展覧会において、立体及び平面作品を約30点ほど、発表する予定です。

本展への皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

Works

Installation View